海外論潮短評(64) 初岡 昌一郎 神聖ローマ帝国 ―現在のヨーロッパ連合(EU)にとって驚くべき教訓― ──────────────────────────────────── ロンドン『エコノミスト』のクリスマス特集号(12月22日)の中で目を引いた のが、「ヨーロッパの解体は正しかった」というエッセイである。この小論は神 聖ローマ帝国を今日のEUに擬え、その解体にはプラス面があったことを紹介し ている。EU懐疑論の強いイギリス人の見方が色濃く出ている知的遊戯と見立 て、新春の読み物として提供する。以下はこのエッセイの要旨。この論文は無署 名なので、編集部スタッフによるものであろう。 ********************** ◆ヨーロッパの解体は善行 ********************** 神聖ローマ帝国時代、サミットは今日よりも愉快な見世物であ