機体の構造強度という本質的に最も重要な要素を捨ててその他の性能を得たあの機械は美しくない。現代の空を飛ばないでほしい。せめて鍾馗を飛ばしてほしかった。
驚くほど細身で、しなやかささえ漂う「白地に赤く」彩られた機体は、前脚が滑走路から離れるや、グイと大空を見上げた。「空の青」に鮮やかに溶け込み始めた、操縦席直下に映える「日の丸の赤」に感動したのも瞬く間、頼もしい爆音とともに、かなたへと消えていった。国産初となるステルス戦闘機開発に向けて《心神》は22日、初陣を飾り、眼下に広がる濃尾平野が「若武者」の門出を祝った。心神は、防衛省の発注で三菱重工業などが製造する《先進技術実証機》の愛称であるが、誰が付けたか分からぬものの、富士山の別称とは心憎い。航空自衛隊・小牧基地(愛知県小牧市)を飛び立った心神は30分後、空自・岐阜基地(岐阜県各務原市)に着陸を果たしたが、国戦闘機開発の再生は緒に就いたばかり。わが国を取り巻くキナ臭い情勢を観察すれば、かつてわが国が掲げたスローガン《翼強ければ国強し》を、再び強力に実行する時代を迎えた。 日本航空史の屈辱「大
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