長い雨季があけた2009年11月初旬、わたしはラオス南部のコーヒー農家のもとで収穫の手伝いをしていた。 東南アジアというと熱帯のイメージが強いものの、ここラオスのコーヒー生産地は標高1200メートルに位置するため、日中の日差しは強いが、あのじめっとした嫌な暑さはなく比較的涼しい。もっともこのような気候はラオスに限ったことではなく、コーヒー生産地の一般的な特徴だといえる。 2001年以降、アラビカコーヒーの国際市場価格は多少の変動はあれ2011年4月まで上がり続け、その後下降に転じた。ちょうど2009年はこの上昇の最中にあり、コーヒー生産者たちはつかの間の夢を見ているかのごとく、毎年上昇し続ける報酬に気分をよくしていた。 一方、フェアトレード団体もそれに合わせて高額での買い取りを実施しており、ラオスコーヒーの庭先価格(実際に農家に手渡される価格)は、フェアトレード団体の方が一般の仲買人より若
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