不漁による稚魚の価格高騰で、養殖業者や専門の飲食店では、コスト高に悩まされており、「資源を守るためにはやむを得ないが、さらに影響が出るのでは」と懸念の声が上がる。 東京・巣鴨の専門店「八ッ目や にしむら」。半袖姿でウナギを焼いていた調理主任の富岡峰人さん(51)は「お客さんのウナギ離れが進まないか心配」と表情を曇らせた。 稚魚の不漁で養殖ウナギは価格が急騰。同店では仕入れ値が2011年秋以降、従来の1・5倍に跳ね上がった。12年2月にうな重の値上げに踏み切り、客足は鈍い。富岡さんは「資源は守ってほしい。でも、お客さんがウナギを食べるのをますます控えるのでは」と不安をのぞかせた。 11年の漁業・養殖業生産統計で収穫量が全国トップの鹿児島県。同県薩摩川内市の養鰻(ようまん)業崎原茂さん(63)は「現状を考えれば仕方がない」と語る一方、「保護が進んでさらに稚魚が手に入らなくなったら困る」と戸惑う