開発業務は創造性が要求される業務だと思われていると思う。技術開発で名をはせた経営者である本田宗一郎氏やSONYの井深大氏などそうそうたる方々もそう言っている。一方で、暗記偏重の教育はだめだという声も多い。だから創造性教育を、ということで考えられたゆとり教育が実質上失敗してしまった。創造力と記憶力は、相反するものなのだろうか。 開発の現場から見ると記憶力というのは、開発業務においてきわめて重要な役割を果たす能力の一つである。創造力か記憶力かという二者択一ではなく、どちらも必要なのが開発業務である。 世界初のマイクロプロセッサを開発した嶋正利氏のマイクロコンピュータの誕生―わが青春の4004という本の中で、開発中のマイクロプロセッサの回路はすべて頭の中に入っていて、それを忘れないよう休みの日は激しい運動とかをしないように気をつけていたという記述があった(この本は今手元にないので、詳細は不明)。