本を終わりまで書き上げて振り返ったとき、大統領を務めていた時期に関する自分の見解は驚くほど一貫していたとしか言えませんね。 書き始めた時点で、私が大統領だった時期に残した軌跡がどんなものだったのか、自分はどんな物語を書きたいのか、基本的な感覚があったんです。だから書いている途中に、「あ、これは思いつかなかったな」とか「うわっ、よく考えたら、いまはこう感じる」とか思うことはなかったですね。 ただ、私が大統領を務めることに対する反発の底流が、大統領選中のサラ・ペイリンの選挙活動に端を発し、ティー・パーティーで浮上していき、ビンラディン急襲で終わる本の末尾まで続く、その程度には驚かされました。 ──大統領時代はそれがわかっていなかったのですか。 当時は忙しかったし、集中していなければなりませんでしたから。それに大統領は、内心では愚痴を言っても、公の場ではそういったことはしないという信念があって、
異例づくしの大統領回顧録 バラク・オバマが私に説明していたのは、戦争犯罪のイノベーターであるモンゴル帝国皇帝チンギス・ハンの都市攻めの仕方だった。 「与えられた選択肢は二つでした。『いま門を開くなら、男たちはすぐに殺すが、女子供の命は助けてやる。ただし女は連れ去り、子供は奴隷にする。一方、抵抗するなら、お前たちは油でじっくり釜茹でにされ、皮を剥がされることになる』」 これがトランプ政権時代を振り返ってのオバマの総評だった、というわけではない。少なくとも、直接的にはそのような意味が込められていたのではない。そもそもドナルド・トランプよりチンギス・ハンに敬意を抱くのがオバマなのである。 チンギス・ハンの話を出したのも、いかにもオバマらしい、具体的な指摘をしたかったからだ。もしいまの世界が残酷だと思う人がいるなら、800年前の中央アジアの草原の世界に思いを馳せればいいというわけだ。 オバマは言う
「微笑みの国」というイメージとは裏腹に、軍事クーデターや、王室への不敬罪で最長15年の禁錮が科される側面も持つタイ。いま、若者たちが政府と王室への不満を次々と爆発させている。彼らが怒りを抑えきれない理由はどこにあるのか? 最新状況を共同通信記者・佐藤大介氏が解説する。 タイで、軍政の流れをくむプラユット政権の打倒を掲げた大規模なデモが続いている。2014年の軍事クーデターで権力の座についたプラユット氏が、民政復帰に向けて行われた19年の総選挙後も首相であり続けていることに対し、学生らが強く反発していることが背景にある。だが、デモ参加者からは、これまでタブーとされていた王室改革を求める声も上がっており、政権と王室に対する批判が先鋭化している状態だ。 タイ政府は、首都バンコクに非常事態宣言を出し、5人以上の集会を禁止する強硬策に乗り出しているが、デモ参加者は強く反発しており、事態収拾のめどはた
週7日働かされたことも ワー・ヌ(27)がミャンマー中部の村をあとにして日本へ向かったのは2017年末のことだった。岐阜県の縫製工場での職を仲介してくれた業者に手数料を払うため、34万円近くを借金した。 日本での高額な給料だけが魅力だったわけではない。先進技術を誇る国で、新たなスキルを学べるチャンスに期待を膨らませた。 しかし、日本で彼女に与えられた仕事は、段ボールに衣服を詰める単純作業だった。週6日、朝7時から夜10時まで、同じ作業を繰り返した。深夜まで働かされたり、週7日勤務になったりすることもあった。 それで月給は6万円。約束されていた額の半分しかなかった。 おまけに上司は彼女を怒鳴り続けた。 「過酷でした」と、ワー・ヌは言う。 「ストレスと不安の毎日でした。あの日々を言葉でどう表せばいいのかわかりません。ただただ泣いていました」 米国務省「人身売買報告書」が技能実習制度に言及 ワー
人権問題への思慮のなさが浮き彫り またノーベル賞発表の季節がやってきた。日本では2018年10月2日、京都大高等研究院の本庶佑氏がノーベル医学生理学賞を受賞し、大きく報じられている。 またお隣の韓国では、ノーベル平和賞に北朝鮮がらみの関係者が選ばれるのではないかと期待するニュースがあふれかえった。結果は、コンゴ人の医師で、性暴力の被害を受けた女性の治療を続けてきたデニ・ムクウェゲと、イラク人で過激派組織による性暴力の被害者を救済する活動をするナディア・ムラドだった。 そんなこんなで、この時期は1年で最もノーベル賞が注目されるタイミングである。そんな中、ノーベル財団のラーシュ・ヘイケンステン専務理事による過去の受賞者に対するコメントがニュースになっている。 英紙「インディペンデント」は、ヘイケンステン専務理事が「ミャンマーのアウンサン・スーチー国家顧問は、民間出身のリーダーとして人権的に問題
「もしかすると日本人は、自分たちの怒りの声を、投票所ではなく、自殺率で示すことを選んでいるのかもしれない」 トランプ現象やEU離脱は言うに及ばず、世界的にポピュリズムの流れが蔓延している。だが、日本はそうでもない。石原慎太郎や橋下徹は結果的には大きな力はもたなかった。 その背景と理由は何か? 「フィナンシャル・タイムズ」の名物記者、ジョン・プレンダーが分析する。 ポピュリズム運動が起こらない日本 ドナルド・トランプが米国の大統領となり、英国民はEU離脱を国民投票で決め、イタリアでは2016年12月、憲法改正案が国民投票で否決された。 昨今の先進諸国の政治の動きを見ていると、グローバリゼーションやテクノロジーの進歩に取り残された人々たちによって政治が大きく変わろうとしているかのように思える。蔓延しているのは、政界のエリートへの怒りである。 ところがポピュリズムの運動が起きていない先進国もある
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