身を切るように寒い真冬の雨の中、ピッチに掛け声が響く。 「足速い!」「ナイスキープ!」 東北社会人1部リーグのサッカークラブ・コバルトーレ女川の選手たちが、ボールを追って駆け抜ける。 「今日は暖かい方ですよ。普段はもっと寒い」「これくらい余裕」と選手たちが笑う。 クラブのホームタウンは宮城県女川町だが、選手の大半は県外出身。昼間は町内や隣の石巻市で働き、仕事終わりに集まって練習している。 ピッチ内でも軽口をたたきあう。一見、和気あいあいとした雰囲気。だがよく見ていけば、プレーには必死さがにじむ。 8年前の3月11日、午後2時46分。町は震度6弱の激震に見舞われた。 東日本大震災の本震だった。女川湾近くの商店街では叫び声や悲鳴が飛び交った。 長い揺れが収まり、安心したのもつかの間、海岸近くにいたタクシー運転手がやってきて叫んだ。 「何やってんだ!早く高台へ逃げろ!」 当時コバルトーレの選手だ
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