「米国のデジタルリーディング事業部の売却、もしくは提携の道はないだろうか」。 2013年4月、楽天子会社のKobo(コボ)のもとに、ソニーから1本の連絡が入った。2006年に米国の電子書籍市場に参入したソニー。だが、端末からの利益を追わない米アマゾン・ドット・コムの電子書籍サービス「Kindle(キンドル)」に押され、存在感を示せずにもがいていた。 この申し出に対し、喜びを抑えきれなかったのが楽天だ。同社は2012年1月、3億1500万ドル(当時の日本円換算で約236億円)でカナダのコボを完全子会社化し、アマゾン対抗勢力の一角に育てようと事業拡大を早めていた。