そもそも、「戦争放棄」条項は、今や大多数の国の憲法にうたってあり、決して日本固有の規定ではない。 ある憲法学者の調査によると、日本国憲法のような戦争放棄をうたった平和憲法条項を盛り込んだ憲法は、既に99カ国に存在するという。憲法9条の規定をあたかも世界の中で唯一の規定だと思い込んでいるのは大きな誤解である。 世界中の国が憲法でうたっている戦争放棄 日本国憲法第9条の淵源は1928年に結ばれたパリ不戦条約(ブリアン・ケロッグ条約)にある。第1次世界大戦では戦闘員、民間人、総計約3700万人という未曾有の犠牲者を出した。この悲惨な教訓を受け、戦後、国際社会で議論が巻き起こった。 その結果、国際紛争を解決する手段として、締約国相互の戦争を放棄するというコンセンサスが得られ、条約が結ばれた。事実上、自衛戦争以外の戦争は違法化されたわけだ。 条約は、当初は多国間条約で、列強諸国をはじめとする15か国