「看羊録」という書物がある。 豊臣秀吉の朝鮮侵略の際に日本に拉致されて数年をすごした朝鮮人儒学者の日本観察記である。 家族までも犠牲となった侵略の被害者なので当然ながら日本に対する憎しみは深く、感情的で偏見の強い記述も随所に見られるが、一方で科挙に受かったエリートだけはあり、抑留中に見聞きした出来事はもちろん、日本の書物をよく読み、北海道も含む日本列島の詳細や地名や各地の慣習、大名の名前や性格まで記録しており、著者の姜沆の博覧強記ぶりがうかがわせる。 その中に以下のような記述がみられる その風俗はひどく鬼神を信じ、神に仕えることは父母に仕えるようであります。生前、人の尊信を受けていた者は、死ねば必ず人々に祀られます。父母の命日には、あるいは斎戒・素食しないことがあっても、神人の忌日には一切魚肉を禁じます。将倭や将倭の妻妾から庶民の男女に至るまで、祝日や神人の忌〔日〕にあうたびに、おごそかに