低予算作品だけれど、アナモフィック・レンズを使用した正調シネスコ。(複雑な)時間の経過やエピソードの移動を台詞に頼らず、カメラワークで表現した「レイヤー・ケーキ」(2004年)は、主演のダニエル・クレイグがジェームズ・ボンド役に抜擢されるきっかけとなったスタイリッシュなギャング映画だった。 "Layer Cake"というのはスポンジの土台にジャムやクリーム、フルーツなどが幾層にも挟んであるケーキのことで、主人公の麻薬ディーラーが足を洗おうとしているロンドンの犯罪世界の階層性と、そこで起きる事件のややこしさを表わしている。 この「レイヤー・ケーキ」が、ガイ・リッチーの「ロック・ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ」(1998年)などのプロデューサーを務め、その後「キック・アス」(2010年)や「X-MEN:ファースト・ジェネレーション」(2011年。大快作。シリーズでいちばんおもしろいの