夜明けを待つ街は静かで、 今や不夜城の名を欲しいがままにする見滝原の街も、 つかの間の微睡みに身を任せているかのようだ。 東の空は群青に染まりつつあるけれど、 頭の上にはまだ、欠けた月がかかっている。 「魔獣狩りかい、暁美ほむら」 どこからともなく姿を見せたインキュベーターは、 鉄柵の上を器用に走ると、私の肩に飛び乗った。 追い払うこともできなくはないけれど、 追い払う必要も感じないので、 白い誘惑者を肩に乗せたまま、私はうらぶれた路地を歩く。 「もしかすると、君はもう魔獣と戦わないつもりなのかと思ったんだけど」 巴マミが、そして佐倉杏子が、 順を追って私に知覚できる世界から去ってからというもの、 私はしばらく魔獣との戦いから手を引いていた。 戦うのが嫌になった、というわけではない。 魔獣を狩らなくては、無為に失われる命があることもわかっている。 まどかの願いを守るために、この世界を守るた