もうひとつ、見方によってそれはITベンダーを擁護することになるのだが、試算を出したときと比べ、マイナンバーの適用範囲が広がっている。2年前のモヤモヤっとした段階で「エイやッ」で作った試算をそのまま見積もりとして扱うことに無理がある。なおかつ、来年の3月末までにシステムの準備を整えるには時間がない。にもかかわらず、いまだに厚生労働省の詳細な省令(仕様)が公表されていない。ITベンダーもリスク込みの見積りを提出せざるをえない、という事情がある。 となれば、当初のスケジュールにこだわるのは無理を生む。総務省が提唱している「自治体クラウド」によるマイナンバー対応が進めば、全体予算は大幅に削減できる。自治体クラウドが真に有効だと考えるなら、関係機関が協力してナショナル・データセンターを建設し、全自治体共通のアプリケーション機能を国費で開発して提供すれば済む。民業圧迫になる、などと自粛自制している場合