いわゆる従軍慰安婦問題をめぐり、1996年に国連人権委員会(当時)が採択した「クマラスワミ報告」について、日本政府が、特別報告者のスリランカ人法律家ラディカ・クマラスワミ氏に対し、内容の一部撤回を申し入れたことが15日、明らかになった。 朝日新聞が今年8月、「吉田証言」が虚偽だったとして計16本の記事を取り消して以降、政府がクマラスワミ氏に直接申し入れるのは初めて。 政府が撤回を求めたのは、報告書のうち、旧日本軍が韓国・済州島で慰安婦を強制連行したとする吉田清治氏(故人)の証言を引用した部分。外務省の佐藤地(くに)人権人道担当大使がニューヨークで14日午前(日本時間14日深夜)、クマラスワミ氏と面会し、撤回を要請した。これに対し、クマラスワミ氏は「吉田証言は(報告作成に当たっての)証拠の一つにすぎない」と述べ、撤回に応じなかったという。