日本人のみならず、ギリシャと聞けば古代史ばかりに目がいきがちだが、そんな世界の人々にギリシャの「今」、そして複雑に入り組んだ現代史を語りかけてきたアンゲロプロスの功績は計り知れない。 その名を初めて世界に知らしめた『旅芸人の記録』(1975)も、軍事独裁、第2次世界大戦の枢軸国による占領、内戦と続いたギリシャにおける暗黒の戦中期を、旅芸人一座の日常の中で描いたものだ。 映画は、1952年、アレクサンドロス・パパゴス元将軍への投票を呼びかけるギリシャの田舎町に始まる。ギリシャにとってようやく長い「戦時」が終わりを告げた時である。 そしてそこから十数年前の同じ地へと舞台を移していくのだが、我々も映画同様、視線の先を十数年前のギリシャに変えてみることにしよう。 イオアニス・メタクサス将軍によるファシズムを模倣した軍事独裁政権による圧政がすでに始まっている。しかし、第2次世界大戦が勃発すると、枢軸
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