“原則23歳以下、未経験可。人間国宝からの指導もあり” 江戸時代に大阪で生まれた伝統芸能、「人形浄瑠璃文楽」の研修生の募集の条件です。 文楽は舞台に立つ「技芸員」の多くを研修制度で養成していますが、今年度の応募がなんとゼロに。制度が始まって以来初めての事態に、関係者は頭を抱えました。 (大阪放送局 記者 井上幸子) 大阪が誇る伝統芸能「文楽」 「此の世のなごり 夜もなごり 死に行く身をたとふれば あだしが原の道の霜 一足づゝに消えて行く 夢の夢こそあはれなれ」 大阪 日本橋にある国立文楽劇場。 この日の演目は、近松門左衛門の「曽根崎心中」でした。 無実の罪を着せられた商家の使用人 徳兵衛と、新地の遊女 お初の悲恋を描いた作品です。 登場人物の繊細な感情を表現する人形、物語の世界へいざなう太夫の語り、そして音で情景を伝える三味線が三位一体となって、人の心の深淵を描き出します。