2015年11月30日のブックマーク (1件)

  • 二人のソリティア #小説 - 言葉の苗が育つ場所

    磯部香織が彼と会うのは二回目だった。SNSで知り合ったその男の名を、まだ彼女は知らない。SNS同様、<ユラ>という彼のハンドルネームで呼んでいた。 二人はデパートの上層階にあるレストランに来ていた。<ユラ>が選んだ店だ。味も雰囲気も悪くない。香織はその店が気に入った。 二人はワインで乾杯した。 料理が運ばれてくると、香織は真っ先に、スマートフォンで写真を撮った。一方の<ユラ>は、ただ彼女が撮り終えるのを待っていた。 「あなたも、よく写真アップしてるよね」 香織が言うと、<ユラ>は頷いた。そういえば、と彼女は思いだした。この店の写真も、彼は以前に載せていた気がする。 「ここは一人でもよく来るんだ。女性の場合は難しいだろうけど」 「そんなことないわ」 <ユラ>の言葉を、香織は否定した。<ユラ>は目を丸くした。 「一人で牛丼でも、ラーメンでも余裕よ」 香織は言いながら、ワインを一口飲んだ。事実

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