ひと目見て、嫌悪感を抱いた。その男は、私と友人のヘザーが入った空港のレストランで、メキシコの定番朝食料理、ウエボス・ランチェロス(彼が呼ぶところの〈不法入国者フード〉)を食べていた。そいつが実は、ヘザーの義理の兄弟だということが判明したので、私たちは、彼と朝食をともにせざるを得なくなった。 その男(ここではバフと呼ぼう)は、いかにも大学でフットボールやってました、という風貌だった。ただ、現役時代に比べればひと回りもふた回りもデカいだろう。高いスーツを着て、ロレックスの時計を着け、かの悪名高い米国大統領への支持を表明するピンバッジを光らせている。 私たちは同じテーブルについた。職業は何かと尋ねると、バフは、民営刑務所を運営する企業の重役だと答えた。不法入国者を監禁する事業で、政府と契約を結び、多額の収入を得ているそうだ。さらにバフは、自分の妻に対して性差別的なジョークをかますような男だった。
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