(城郭・戦国史研究家:西股 総生) 東京に残る歴史の跡 東京の城というと、たいがいの人は江戸城を思い浮かべる。あるいは、多少なりとも城や歴史に関心のある人なら、戦国時代に北条氏が築いた八王子城や滝山城の名を知っているかもしれない。 でも、本当は東京にはもっとたくさんの城がある。すっかり都市化の進んだ23区内だって、中世・戦国時代の城の面影を求めることは、けっこうできるのだ。 というわけで、東京23区内に点在する城跡を月イチのペースで紹介してみよう、というのがこのシリーズ。最初に紹介するのは、練馬区にある石神井(しゃくじい)城だ。西武池袋線の石神井公園駅を南側に降りて、商店街と住宅街を15分ばかり歩くと、三宝寺池のほとりに出る。池の対岸に広がっている石神井公園の森が、すなわち城跡だ。 築城した背景が複雑な石神井城