1939年に出版された『経済人の終わり』という本を読みました。著者はP.F.ドラッカーという政治学を専攻するドイツ人の青年で、37年に渡英し、その後アメリカに渡っています。 これは、それまでドイツにいたこの青年が、ナチズムの起源とその体制の特徴を分析し、それに対峙する西欧諸国が採るべき方策を示した書です。 著者によれば、ナチズムの発生の大きな原因は1930年代までのドイツにおける資本主義の挫折でした。大恐慌を機にドイツを襲った記録的なインフレにより、市民生活は破壊され、経済的な危機がもたらされます。 当時の世界的な大恐慌がショックだったのは、その実害の数字だけでなく、当時における資本主義のイメージが壊れたことにありました。 慢性化する不況と貧困の中で、19世紀までに夢を求めてアメリカを目指す移民がヨーロッパから大量に発生しました。このアメリカ大陸の存在により、そのままであれば飢餓と貧困に被