アスベスト(石綿)による被害が次々と明らかになってきていますが,何も「石綿労災認定」は今に始まったことではありません。例えば,1999〜2003年の過去5年を見ると,肺がんでの労災認定件数は17件,17件,21件,22件,38件,中皮腫での労災認定件数は25件,35件,33件,55件,83件あります。この時期に急に騒がれ始めたのは,特に中皮腫による被害が急拡大しているから。それには幾つか理由がありますが,このブログでは一つだけ挙げておきます(詳細は,『日経ものづくり』2005年8月号にまとめます)。 アスベストは「静かな時限爆弾」と言われるように,体内に滞留し,30年,40年といった長い年月を経て肺がんや中皮腫を発症させます。特に中皮腫の場合には,潜伏期間は平均38.0年。ごくごく単純に計算すれば,ここに来て中皮腫を発症させた方は38年前の1967年にアスベスト被害を受けたことになります。