『背の高い草のなかに転がる頭蓋骨のように』 アレックス・ガーランド 『四次元立方体』からの引用をつなげて、中原昌也っぽくなるかという試み。 以前の同様の試みは下記リンク先にて。 kingfish.hatenablog.com 四次元立方体 (ブックプラス) 作者:アレックス ガーランドメディア: 単行本 『背の高い草のなかに転がる頭蓋骨のように』 その部屋に明るい色はひとつもない。 「染み」と小声でつぶやいてみる。 「おれもやがては滅びゆく男。もう、過去になっちまった人間」 どんな具合に時間が過ぎたのかは思いだせない。それでも彼にしてみれば、とにかく過ぎたということだけで満足だった。 シーツについた血を見つめた。さび色の染み。 この部屋にはだれかが泊まっていた。拷問のテクニックに長け、おそらくそれを生業としていた。ねじが回る音。おそらく男はこう思ったにちがいない。ドアの向こうには、自分が見