誤解2 うつ病は「意欲がなくなる」病気である うつ病の啓発が抗うつ薬のPRとともに進んだことで生まれた、病気にたいするもうひとつのかたよった認識が、うつ病とはなによりも「意欲がなくなる病気」だという理解ではないかと思います。 たとえば、シオノギ製薬と日本イーライリリーが共同で運営している「うつ病 こころとからだ」というウェブサイトでは、「気分の落ち込みやからだの重さやつらさ」(強調は引用者)が、主たる症状としてトップにかかげられています。「やる気が出ない……それって、うつ病かも?」といったバナー広告を、見たことがある人もいるかもしれません。 自分の気分が落ちこんでいることは、本人がいちばん自覚しやすいので、潜在的な患者の早期受診につながったという点では、これらの広告の成果を認めなくてはならないでしょう。しかし私は病気を経験して、意欲や気持ちの問題に特化したうつ病の語られかたには、非常に大き