かつての中国で立退きを拒否し、不動産業者(と地方政府)と戦う釘子戸(Nail house, ど根性ビル)が話題になったことがあった。住んでいた家が再開発地域になり、補償が足りないとして立退きを住民が拒否すると、不動産業者によって家の周囲を濠のごとく掘り下げられたり、道路のど真ん中に放置されるなど兵糧攻めを受けた。その図がとても絵になったので国内外でセンセーションを引き起こした。それを見た我々は「不動産所有権のない国の人民はかわいそう」「私有財産権が保証されない国の人民はかわいそう」と上から目線で同情したことだろう。 ところで、2007年に立ち退きが決まった重慶市の孤島ビル(上図)の所有者は400万元(約6000万円)、7年間高速道路に囲まれながら最後まで粘り、2017年に立ち退いた区分所有者(下図)は1100万元(約1億7820万円)を手にしている。神聖な私有財産権も守るものがなければ1億