昨年末、福島県いわき市で開催された『カオス*ラウンジ新芸術祭2017 市街劇 「百五〇年の孤独」』。「かつての復興の失敗を歩く」というセンセーショナルな見出しを冠されたこの展覧会は、明治時代に起こった寺院の打ちこわしがなされた「廃仏毀釈」の痕跡を辿りながら3つの会場を巡る「市街劇」だった。 殺風景な街並みの中、無縁仏の供養された寺跡や設置された作品群を見ながら歩いていくと、そこには本展開催に合わせて開山した密嚴堂という寺や、2017年暮れ、アルミ缶で鋳造された鐘で150年ぶりに除夜の鐘がつかれたという観音堂が待っていた。 言うまでもなく東日本大震災(以下、3.11)の被災地であるこの地で、3年連続して極めて異例の芸術祭を敢行してきたカオス*ラウンジ。その実践は、平、小名浜、泉と場所を拡張しながら、その土地の歴史を過剰と言えるほど掘り下げ、アートを通じた現在の復興のあり方や未来について考える