Things which cannot go on forever will stop. (いつまでも続けられないものはストップする) かつてニクソン大統領の経済顧問を務めたハーバート・スタインの言葉だ。アメリカが抱える双子の赤字が急増しているのは問題だとする論者達への返答として発せられたこの言葉は、現在でも語り草になっているそうだ。どのみちストップするのは分かりきっている。問題はどのようにストップさせるかだ。スタインがこの短い一節をもって示唆したのは、そういうことだった。 著者はこのエピソードを、本書の前半かつ全体骨子の中ではやや傍流的な箇所で、さらりと引いている。非常に憎い演出だ。 この言葉こそが、まさに本書の主張そのものでもあるのだから。 一般的に、ユーロの問題はギリシャ財政との関係で論じられることが多い。事の発端となったギリシャ債務危機が勃発したのは2010年。巨額の財政赤字が発覚