ゲーツ前米国防長官が発表した国防予算削減案は、米軍の世界展開やアジアにおけるプレゼンス、ひいては日本への駐留に対して否定的な意見を持つ人たちを大いに喜ばせたものでした。実際、国防予算の削減はリベラルな民主党だけでなく、野党・共和党内からも支持されるもので、米国内においては不可逆的な趨勢という観があります。 米外交問題評議会(CFR)非常勤シニア・フェローのリチャード・ベッツの見解は、米国内における国防予算削減推進派の代表的な見方のひとつです。 米国の国防予算に大なたが振るわれるのは避けられない。米国は常設軍を持っていなかった第二次世界大戦前の状況へ回帰していくべきだろう。高度な先端技術を用いた兵器システムの導入には慎重でなければならない。 また、誰もが大規模な歳出削減が必要だと考えている。削減対象として一番抵抗が少ないと考えられるのが国防予算だ。他方、年金や医療といった社会保障予算を削減対