75年、住みなれた家と土地をぼくから取り上げてしまった、芝信用金庫に感謝している。あまりにも高い代償とはいえ、ヤマジュンこと、山川純一君の未発表作品をついにそのお蔭で、見つけ出すことができたからだ。 わが家の3階、モデル撮影のためのスタジオにすべく作られた、まったく窓がなくて、高い天井の部屋。それがいつの間にか、衣裳部屋のような倉庫になっていた。 その部屋の奥の方に、秘密の物置きみたいな、扉がついている物入れがある。そこの一番下から茶封筒に入って、4作品が見つかったのだ。そこは何年も開いたことがなかった場所だ。引っ越しということにならなければ、見つからなかったことは間違いない。 スタッフのヤマジュン作品を載せるなコールについに負けて、誌上からなくなってしまった。前にも書いたが、16頁の1作品の原稿料だけで生活していることをぼくは承知していたから、この決定は苦痛だった。 山川純一というペンネ
![ついに山川純一君の未発表作品を見つけ出したぞ! - 伊藤文学のひとりごと](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/7b87462832f2a5aed29513d731ec4f4056092f8f/height=288;version=1;width=512/http%3A%2F%2Fbungaku.cocolog-nifty.com%2Fbarazoku%2Fimages%2Fimg274.jpg)