戦時中に日本人は幸せだった 私が「堕落論」と「白痴」を読んだのは、恐らく中学3年生のときです。もう内容はほとんど忘れてしまったのでは、「戦時中の日本人は幸せだった」という考えが作中にあったことが、非常に印象的でした。最初は理解できませんでしたが、読み進めるにつれて、その幸せが政府による「国のため」「天皇ため」という文句を用いて洗脳した結果生まれた偽りの幸せだと気付きました。 「幸せだと思い込め」 学校に行けない子供たちがいる、幸せだと口に出して言えば幸せになれる、幸せを感じられない心に問題がある、ダメな自分を許してあげれば幸せになれる、友達がいる、恋人がいる、仕事がある、三食食べられる、だから「自分が幸せだと思い込め」。 この考え方は、戦時中の「欲しがりません、勝つまでは」によく似ています。自分の境遇を変えようとせず、それを受け入れることを美徳する、非進歩的な考え方です。都心で