社会保障と安全保障、日本の「先送り」崩壊が直撃する世代は? 書評『逃げられない世代 ――日本型「先送り」システムの限界』 なぜ、政治家も官僚も「先送り」するのか 超高齢時代を迎え、医療や介護、年金などの社会保障費は増大の一途だ。それをまかなうために国は借金を重ね、その額は1000兆円を超え、さらに膨らみ続けている。財政破たんの危機が叫ばれて久しいが、果たしてどこまで持ちこたえられるのか。 このまま抜本的対策を取らずに問題解決を「先送り」すれば、2036年に限界に達し、社会保障制度に加え、国の安全保障も含めた国家システムが崩壊の危機に陥ると、本書『逃げられない世代』は警告を発する。2036年というと、18年後。残された時間は短い。著者は元経済産業省のキャリア、1981年生まれの若手論客だ。 そもそも、これらの問題は早くからわかっていたことである。本書によれば、社会保障費の膨張による国の財政悪