近代日本の右翼思想 (講談社選書メチエ) 作者: 片山杜秀出版社/メーカー: 講談社発売日: 2007/09/11メディア: 単行本購入: 10人 クリック: 210回この商品を含むブログ (43件) を見る日露戦争後から第二次大戦までの右翼思想を包括的に扱おうと試みた、意欲的な一冊。あまりに包括的すぎるため、頁が進むにつれて無理が目立つようになるが、無思想・大衆迎合的と見做される傾向の強い蓑田胸喜や三井甲之といった「原理日本社」の連中をきちんと思想史の中に位置づけたことは大いに評価されるべきだろう。もっとも、蓑田が無思想だと思われてきたのは、滝川事件において滝川教授を私怨によって批判したと思われる節があるためで、同情には値しないだろうが…… 内容を要約すると以下のようになる。著者の言う右翼とは、すなわち「失われた過去に立脚して現在に異議を申し立てる」ものであり、日露戦争後の社会不安の増大