絵画・歴史批評 ナチス芸術の空虚さとメランコリー ナチス・ドイツの悪名高き総統アドルフ・ヒットラーが、もし青年時代に夢みていたとおり、「画家」としての人生を歩んでいたら、20世紀の歴史はどう変わっていただろうか。 それは、現代史に関心を持つ多くの人々が一度は考えた「歴史上の I F 」であるかもしれない。 実際に、ヒットラーが画家になることを目指し、ウィーンに赴いて熱心に絵を描いていたことは、あまりにも有名な話である。 このとき、彼が残した絵画は700点。水彩のようなものを含めると2,000点から3,000点ぐらいに及ぶのではないかと推測されている。 しかし、それほどの作品数を数えながらも、彼は美術学校を受験しても合格することがなかった。 その理由は、「風景画ばかりで、人間を描いたものが極端に少なかった」とされているが、要は “才能がなかった” ということだけなのかもしれない。 ▼ 画学生