第二回Powers受賞作。ネット上の感想をめぐってみたが、否定的な意見が多くて少し残念(感想数自体が少ないのも残念)。私はとても楽しめた。 「先行作品(ブギーポップや、ハルヒや、西尾作品などらしい)のつぎはぎ」という感想も見かけたが、私が思うに、作者は先行作品からの影響を踏まえたうえで、『芯』の通った作品を描いていると思う。少なくとも「つぎはぎ」ではない。上遠野浩平が『ブギーポップは笑わない』で初めて描いた「世界の敵」のヴァージョンアップこそが、今作の「蜂男」であるし、「真上草太郎」と「マガミ」の対立の構図は、『空気系』と『セカイ系』の構図を踏襲している(ピンとこない方は、『空気系』を『日常系』に、『セカイ系』を『非日常系』に置き換えてみてください。それらは厳密には一致しないけれど、大意はほぼ同じです)。そして重要なのは、「真上草太郎」(空気系)と「マガミ」(セカイ系)の対立において、作者