前島賢『セカイ系とは何か』の中で、とても興味深いと思ったのは、ゼロ年代後半のコンテンツたちへの批評だ。一方の極に、『CHAOS;HEAD』や『STEINS;GATE』、『15×24』、『428』、『デュラララ!!』といった作品を挙げ、これらを『ブギーポップ』シリーズから連なる、都市伝説と群像劇の復活であると位置づけ、他方の極に、『あずまんが大王』から続く『らき☆すた』、『けいおん!』、『生徒会の一存』といった「空気系」の作品をもってくる。特に後者においては、オタク的モチーフへの自己言及が、あっさりとオタクの自己肯定のために用いられている点が特徴的だと述べられている。 その評価の是非については、納得がいかないと言うより、「もっとこう見た方がいいんじゃない?」という感想があって、それがセカイ系評論と繋がるかどうか分からないのだけれど、これらの作品の中で、特に主人公のキャラがはっきり立っている作