東日本大震災から7年が経つ。大規模な被害が出たことは言うまでもないが、同時に大量の「戸籍」も流されていた。戸籍がなくなるとどうなるのか? 当時どのような対応がおこなわれていたのか? 無戸籍者の問題を追い続けてきた井戸まさえさんが、大震災と戸籍について考える。 「戸籍がない」とはどういうことか 今年もまた3月11日がやってくる。 あの日、大事な命とともに、津波被害が最も深刻だった南三陸町、女川町、大槌町、陸前高田市の4市町では、住民の「自分の証明」たる「戸籍」の正本が流され、全てが失われた。 「戸籍がない」とは、死者を死者として届けることも、出生も婚姻、離婚も含めて身分関係登録の一切ができないということだ。 誕生日や自分の父母が誰なのかも、何らかの客観的証拠がなければ公証に至らず、戸籍再生の道は厳しく制限される。 今日に至る近代戸籍制度は明治時代に確立したものだが、過去において大量に戸籍が滅