ユダヤの音楽というと日本では一般に東欧系ユダヤ人(アシュケナジーム)のクレズマーがよく知られている。この語はヘブライ語で「道具」の意味の「クリー」と「歌」の意味の「ゼメル」(ZMRの3文字が語根で、「賛歌」の意味の「ミズモール」「ズィムラー」等は同根)が結びついた連語の「クレイゼメル」に由来するイディッシュ語。意味は「楽器」もしくは「ユダヤの器楽奏者(ミュージシャン)」を指す。 クレズマー音楽が日本のポピュラーシーンで注目されたのは、ニューヨークの一連のムーヴメント(ジョン・ゾーン、クレズマティクス、ブレイヴ・オールド・ワールド等が中心)と日本のクレズマー・ユニット、ベツニ・ナンモ・クレズマーの活動などによるところが大きいだろう。ユダヤ音楽でクレズマー人気に先行した動きとしては、80年代にスファラディー(西洋諸語ではセファルディー)と呼ばれるスペイン系ユダヤ人の古い民謡を歌うエステル・ラ