太安萬侶の墓誌の3次元計測CG画像。銅板に彫られた文字の左側から毛筆の跡(赤い部分)が見つかった。左の写真の「萬」の左側に毛筆跡のわずかな盛り上がりが確認できる(奈良県立橿原考古学研究所付属博物館提供)研究に終わりはない-。古代史ならではの謎解きのロマンを実感させたのが、古事記を編纂(へんさん)した太安萬侶(おおのやすまろ)の墓誌だった。昭和54年の発見以来、多くの研究がなされ、「もう新発見はないだろう」ともみられていたが、予想もしない幻の文字が見つかった。712年の古事記編纂から1300年にあたる平成24(2012)年、レーザー光による3次元測量で、肉眼では全く見えなかった「安萬侶」の毛筆の文字が浮かび上がった。来年は安萬侶の死去(723年)から1300年。再びメモリアルイヤーを迎える。