「小さな政府」という言葉は、新自由主義というイデオロギーを具現する代表的な言葉である。 しかし日本においては、このイデオロギーが支持されたというより、「税金の無駄遣い止めよう」的な世論に新自由主義者が竿を差すための詭弁であった。多くの国民は、歳出削減を優先し、税率のアップを回避してくれることを願っていただけである。別に所得の再配分機能の抑制や、社会保障の削減を期待していたのは、ほんの一握りの生粋の新自由主義者だけであろう。 また良識的な国民は、「痛みを伴う改革が必要」的な言葉を純粋に信じ耐えた。しかし歳出削減が必要なのは確かであったが、最高税率を下げ、課税最低限を上げる*1ことが本当に避けられない政策であったのか甚だ疑問である。 低所得者に厳しい政策というのは、英国病に毒された1970年代の英国では必要だったかも知れない。階級意識の呪縛から人々が政府に依存し、労働意欲が減退し停滞している状