東浩紀「ゲーム的リアリズムの誕生~動物化するポストモダン2」は、とても親切な本であり、まずはそれに感心した。 前作となる「動物化するポストモダン」に限らず、これまで東浩紀の著作のやり方は、主張を固めるための検証作業がともすれば大雑把であるし、また、さほどに関連性が深いとは言えない事例を強引に繋ぎ合わせて一つの流れを意識させようとするものがあった。僕はこのやり方を批判するものではない。むしろ、あざやかに全体の論旨を生み出していくダイナミックさに感銘を受ける。 しかしもちろん、このような書き方は批評の言語としては今の日本で例の少ないものだから、読者は彼のやり方に違和感を感じるかもしれない。だが彼がなぜこれを選んでいるかということは、現在に至るまでの東浩紀の批評活動のルーツがすべて収められた「郵便的不安たち#」を読めば明確に分かるはずだ。ここでは簡単に触れるまでにしたいが、要するに彼の動機にはポ