酒を飲みながら、蒲焼を待つ楽しさ。心が踊るとは、まさに、この状態を言うのではないか。……匂いが何とも言えない。匂いだけでも飯が食えるというくらいだ。 池波正太郎氏が鰻について語った一説。数ある食べ物のなかでも、鰻ほど「心が躍る」という表現が似合うものも少ないでしょう。 しかし、そんな鰻をめぐる状況の先行きが怪しいようなのです……。 近年では鰻の稚魚(シラス)の漁獲高が著しく減少していると言われており、ニホンウナギの国内採捕量の減少や資源としての管理、都道府県や漁業者による取り組みを水産庁が「ウナギをめぐる状況と対策について」という資料にまとめ発表にするに至っています。 おそらくどこの鰻屋さんでも仕入れや価格の維持にご苦労されていることでしょう。そんなことを思っていた折、福岡に訪れる機会があったため、中洲で150年近く続いている老舗「吉塚うなぎ屋」を訪れ、老舗の鰻を食べつつ現状のご苦労などを