哲人あるいは詩人建築家と呼ばれ、あるときは孤高または異端と形容され、建築界では存命中から神話化されていた白井晟一(1905-1983)の回顧展が汐留ミュージアムで開催される。 建築家 白井晟一ってどんな人? 「ダンディズム」は白井晟一をひも解く際のキーワードといえるでしょう。 白井は明治生まれの建築家らしく独特のスタイルを持っていました。たとえばネクタイは水玉模様のみ、新幹線乗車時でも、人前では決してジャケットを脱がないなど…。音楽はベートベンを愛好。さらに文字に対するこだわりを強く持ち、弟子入り希望の若者には、掃除の修行をさせながらオールドローマン書体のレンダリングをひたすら手習いさせたと言われています。両極的なものを衝突させながら空間を構成していくその建築手法同様、貴公子と野人の顔を持つ、と評されることもあったのでした。 筆者にとって白井建築との出逢いは、六本木から東京タワー方面に向か