先日の夕食会で、小説家の平野啓一郎さんから「日本人デザイナーは欧米のようなボリュームのある曲面の使い方が苦手という話を良く聞きますが、実際はどうなんでしょう」という質問がありました。 以前に、ドイツのカーデザイナーに「日本の乗用車の質感は素晴らしい。しかし、どうしてあんなに弱々しくデザインするのか不思議だ。剛性感とか丈夫さとかを表現しようと思わないのか」と言われたことがあります。英国のデザイナー達は曲面の成り立ちについて、生命の進化にからめてロマンを語りますし、ラテン系のデザイナー達は本当に楽しそうに豊かなボリュームをなで回します。 私は、日本のデザイナーの中では有機的な曲面を多用する方だと思いますが、確かに自分にはイタリア人のようなおおらかな面や、アメリカ人のようなモリモリのボリュームはうまく使えません。曲面を磨き上げながら、できるだけスリムにしようとしている自分がいます。無駄をそぎ落と