賃上げが実現できるのかどうかに政界、経済界の関心が集まっている。安倍晋三政権の度重なる要請と、景気回復基調が続きそうな見通しが相まって、経済界からも賃上げに対して前向きな発言が聞かれるようになっている。 ただし、賃上げの仕方については、月当たりの基本給を定めた賃金表そのものを改定するベースアップ(ベア)まで踏み込むのか、ボーナスなど一時金の支払いで対応するのかを巡って、経済界から慎重な発言が繰り返されているのも事実である。ここではいわゆる日本型の年功賃金を前提としたベースアップを期待できるかについて論じたい。 ◆◆◆ 日本銀行が年率2%のインフレーションを目標としていることが、賃上げ必要性の論拠として指摘される。仮に日銀が目標を達成して消費者物価指数(CPI)が2%上昇すると、それに見合って賃金も上昇しないと、賃金の実質的価値が低下してしまうためである。しかしながらCPIが2%上昇すること