ところでさらに付け加えて細かい話を2点。いやこちらは本編の価値には一向に関わりのないことではあるのだが...... 一つめは「蕨の粉」という話。中世に「武」の勢力が伸びていくことによって女性や老人のような弱者が圧倒されていったという、本郷氏のそれ自体はその通りだろうと思う指摘の文脈でこういう記述がある。 寡婦二人が蕨の粉を盗んだ。蕨の粉がどういうものかは分からないが、少なくともさほどうまいものとも、貴重なものとも思えない。働き手である夫を亡くした彼女たちは、小さな子どもを抱えてひもじさに堪えかねたのだろう。だが若者たちはこのことを知るや、寡婦の家に急行し、数人の子どももろとも、彼女らを撲殺してしまう。[1,136、強調引用者] いやもちろん私は素人なので自信があるわけではないが、一般的に「蕨の粉」と言えばすぐに想起されるのはワラビの根を潰して水にさらして取ったデンプン、わらび粉のことではあ