わが国では現在、大学教育と幼児教育の無償化に向けて議論が行われている。しかし、現在の厳しい財政状況下で、そもそも政府は教育に支出をすべきなのだろうか? そして、支出をすべきだとして、それは教育の無償化なのだろうか? 本稿では、①なぜ政府が教育に支出をすべきなのか、②そしてどのような教育支出をすべきなのか、③それに対して日本の教育状況はどうなのか、④幼児教育と大学教育の無償化に乗り出すべきなのか、について論じたい。 大学教育は文字通り「人への投資」 そもそもなぜ政府は教育支出を行わなければならないのであろうか? この問いには、人権と経済の二つのアプローチから答えを出すことが出来る。 人権アプローチからこの問いに答えると、質の高い基礎教育を受けられ、能力に応じた高等教育を受けられることは人権であるため、子供がその権利を行使できることに対して、その義務を負う者である保護者と政府はその権利が行使で