相手がかなりまともな人だっただけで、たぶん参考にならない 朝のラッシュ、ホームに降りようとした瞬間、腕をつかまれた 「痴漢、しましたよね?」 相手は大きな目の目立つ、リクルートスーツの小柄な女性 俺とドアに挟まれる形で立っていた人だった 「ええええ!?し、しししてません!」 「触りましたよね」 「触っただろうけど、じゃなくて触ったかもしれないけど! 電車が混んでたからで!身動き取れなかったし!仕方なかったからで! じゃなくて、触るつもりがあったんじゃなくて、いや触ってなくて!」 納得してもらおうと焦るが、“ふざけんな”と“相手に取り入らなければ”のごちゃ 混ぜな感情がさらに思考を支離滅裂にする 「確かにあなたはパッチリした目といいきりっとしたおでこといい、俺の好みにどストライクですが! 後ろからじゃそんなの見えてないし、じゃなくて! 2つ前の駅から乗って好みの人