蕁麻疹は、ありふれた疾患でありながらその病態には未知の部分も多く、症状の現れ方や治療の内容にも大きな違いがあります。一般には皮膚マスト細胞から放出されるヒスタミンなどの活性物質が組織に作用して知覚神経を刺激してかゆみを生じ、微小な血管の拡張や血管内の成分の漏出によって発赤・紅斑や膨疹などを生じますが、アレルギーや外部からの機械的刺激によるもの、アスピリンなどの非ステロイド性消炎鎮痛剤による刺激誘発型の他にも、明らかな原因がなく自発的に出現するものもあり、それらを明らかにすることも重要です。 通常は抗アレルギー薬・抗ヒスタミン薬を使用することが多いのですが、漢方薬では熱をもって浮腫があるタイプの急性蕁麻疹には、『越婢加朮湯(エッピカジュツトウ)』を使用することが多いです。また、尿量が少ない場合で便秘傾向の方には『茵蔯蒿湯(インチンコウトウ)』を、喉が乾きやすい方には『茵蔯五苓散(インチンゴレ