鎌田哲哉/途中退場者の感想──「LEFT ALONE」批判(抄) だが、話はこれで終らない。もしそれが事実の全てなら、私自身が心からほほえんでこの一文を書くことができた。だが上記とは逆に、「LEFT ALONE」には、取り返しがつかない「現在」の致命的な排除がある。この映画は、その製作過程と全く同時期に生じた出来事、対話相手の柄谷行人や何より主人公の秀実が深く関与した一つの出来事をあらゆる個所で隠蔽しており、しかも隠蔽自体がなかったかのように映像全てを進行させてしまっている。言うまでもなく、この出来事とは「資本と国家への対抗運動」を自称したNAM(New Associationist Movement)の問題である。 NAMの結成と解体の経緯、内部における知識人と大衆との相互癒着的な依存関係、さらにその解体過程で生じた地域通貨団体Qに対する旧態依然たる左翼的破壊工作の内容、それらについてこ