指揮官と選手の間に生じた溝は、想像以上に深刻だった。2011年からJ1清水で采配を振るったアフシン・ゴトビ前監督。7月23日、敵地のG大阪戦で0―4と完膚なきまでにたたきのめされ、リーグ戦7戦勝ちなし。15位にまで順位を下げ、「J2降格」がちらつき始めた。 宿舎に戻ると監督、選手、強化担当者らで緊急ミーティングを行った。ゴトビ監督が口火を切った。「君たちは私を辞めさせるために、わざと無気力な試合をしているのか」。チーム関係者は「選手に対して、とても残念な言葉だった」と振り返る。信頼関係は崩壊した。この発言が解任の決定打となった。 イラン系米国人のゴトビ監督は勝利とともに、理想のサッカーも追い求める。選手選考も、そうしたサッカー観に基づく。失格の烙印(らくいん)を押された選手がはい上がるのは難しい。昨年まで「私が理想とするボランチ」とチームの中心に据えていた12年ロンドン五輪代表の村松は