前回のコラムでは素材・部材メーカーを例にとり、日系企業の持つ国際競争力について考察した。完成品のシェアでは日本は欧米や韓国・台湾に負けているものの、その製品で使われている素材・部材を見てみるとほとんどが日本製になっている。そういう観点に立てば日本の独壇場は消えてはいなかったのだ――と。今回はその続きとして、さらに考察を深めていきたい。 下の図を見てほしい。これは製品開発における川上から川下に向かう工程のなかで、どの部分が利益率、付加価値が高いかを示した図である。一般に、中央の量産加工が最も利益率が低く、川上、川下に向かうほど利益率が向上する。曲線があたかも人が笑っている口元のように見えるので「スマイルカーブ」と呼ぶ。ビジネススクールではおなじみのこの図はもともと台湾のACERの創業者であるスタン・シー(施振榮)が唱えたものだ。 上段で「一般に」と書いたのは理由がある。現実には必ずしもこの